町田市小山ヶ丘廃プラスチック中間処理施設問題資料
町田市小山ヶ丘廃プラ施設 ここが問題1. ゴミ問題はみんなの問題:私たちの目指すもの このパンフレットは、廃プラスチック中間処理施設問題に関して町田市の行政上の問題点、施設の安全性に関する基礎知識、そして、プラスチックゴミ問題に対する代替案をまとめたものです。今、町田市はプラスチックゴミの中間施設の建設を、多摩丘陵の西端に計画しています。これは町田市民のみならず、隣接する八王子・多摩・相模原市民にも健康被害が懸念されるものです。町田市には「住みよい街づくり条例」という市民と行政が協力し住環境をつくりあげることを唱った、すばらしい理念があるにも関わらず、この計画は住民不在のうちに進められました。
誰もこのような施設を近所に作ってほしいという人はいないでしょう。でも、「ゴミならどこかで処理しているから、ダイジョウブ」、施設建設も「近所はヤダけど、よそならイイよ」という安易で無責任な発想で、ゴミを出し続けていては問題は解決しません。いずれ何らかの形で私たちはツケを払うことになるでしょう。私たちは、行政とともに知恵を絞り、手間をかけ、汗をかき、この問題に取り組んでいく、その第一歩としてこの運動を立ち上げました。
プラスチックゴミ処分の問題にはまだ100%の正解はありません。だからこそ、行政だけではなく、市民の取り組みによって解決される部分もかなりあるはずです。私たちの命と健康だけではなく、私たちの子どもたち、そして、その子どもたちの命と健康のために、今できることを模索していくことは、行政・住民の区別なく私たち全てに与えられた使命でしょう。この問題を契機に、私たちの住む多摩地区がこのような取り組みのモデルとなることこそ私たちの願いです。
この章文責 三村明
2. 廃プラ中間処理施設は本当に安全なのでしょうか? さて、町田市が建設を進めようとしている廃プラ中間処理施設ですが、これまでに得られている科学的知見をもとに考察すると、とても安全なものとはいえません。
〈プラスチックをただ「圧縮する」だけでも、様々な有害物質が発生する!〉かつてプラスチックの圧縮処理は、「燃やしたり熱を加えたりするわけではないので、何ら有害な物質は発生しない」と考えられていました。ところが、それは大きな誤りだったことが、杉並病の社会問題化をきっかけに明らかとなったのです(参考資料1)。
プラスチックが圧縮されると、こすれたり、つぶれたり、やぶれたりすることで、様々な化学物質が発生します。しかも、それらの化学物質の中には、人の体に害のあるものも多数含まれているのです。このことは、不燃ごみのような様々な「混じりもの」を含まない、純粋なプラスチックを使った実験で確かめられています(参考資料2,3)。
「杉並中継所の圧縮処理はプラスチック以外の不燃ごみを含むが、今回計画している施設はそれを含まないため、杉並病を引き合いに出すのは不当だ」という意見があります。確かに、両施設は全く同一のものではありません。しかし、圧縮されたプラスチックそのものから様々な有害物質が発生するわけですから、杉並病と同様の健康被害が生じることは十分にありえるのです。また、北河内4市リサイクル施設組合が行った実施設による廃プラ圧縮の模擬試験では、様々な有害物質だけでなく、毒性のわからない未知の化学物質も数多く発生しています(参考資料4)。つまり、今回町田市で建設が計画されている廃プラ中間処理も、操業が始まれば、プラスチックの圧縮過程で有害な物質が「発生する」ことは間違いないと言って良いでしょう。
〈現在の技術では、発生した有害な化学物質を完全には取り除けない!〉次に問題となるのが、発生した化学物質を外へ出さないために、きちんと取り除くことができるのか、ということです。北河内4市リサイクル施設組合が行った実験では、活性炭により、廃プラ圧縮処理によって発生した化学物質の90%以上が除去されたとしています(参考資料4)。しかし、その中には未知の化学物質も多く、たとえ90%除去できたとしても、残りの10%の化学物質群がどれほどの影響を及ぼすかについては、現在の知見では判断できません。また、処理するプラスチックの量が増えれば、「10%」に相当する絶対量も増えるため、この「90%以上が除去された」という結果も、周辺環境への安全性を証明するものではありません。しかも、これは新品の活性炭を用いた実験結果です。除去能力は徐々に低下していくのが普通ですから、周辺の大気中へ出ていく化学物質は、活性炭を交換するまで(杉並中継所では約1年で交換;参考資料1)、日に日に増えていくと言って良いでしょう。
また、杉並中継所のデータでは、化学物質の種類によっては、活性炭による除去効果がほとんどないことが示されています(参考資料5)。つまり、現在の除去技術の性能には限界があることは明らかであり、活性炭を用いるから「安全である」「周辺環境に影響を及ぼさない」などという主張は全く成り立たないのです。
〈すでにある廃プラ中間処理施設の周辺では、何の問題も起きていないの?〉当会のメンバーが、町田市が計画しているものと同様の廃プラ中間処理施設を視察したところ、施設の近くに10分もいると喉や目の痛み、吐き気などを感じたそうです。これはあくまで感覚的・視覚的なものであり、科学的な調査を行ったわけではありませんが、これは無視できない事実であると考えます。
杉並中継所周辺の大気を調べた結果から、他の地域の大気には通常見られないような、特有の化学物質が大量に含まれていることが明らかになっています。しかもその内容には、人の体に有害な物質だけでなく、未知の化学物質も見られます(参考資料6)。他の廃プラ中間処理施設においても同様に、周辺の大気中に有害物質が含まれ、それによる健康被害が生じている可能性は大いにあります。ただ、杉並以外では、大気の分析や、健康被害の疫学的な調査がほとんど行われていないのです。
しかし、「すでに全国で多数稼動している廃プラ中間処理施設において、周辺で健康被害が起きているという話を聞かない」というのは、安全性の説明としてはあまりに稚拙です。なぜなら、それは「聞いていない」のではなく、「(調べるべきなのに)調べていない」だけなのですから。
この章文責 渡辺司
参考資料
1.燃やさないプラスチックゴミ処理から環境汚染物質が発生する機構─表面科学からの考察、津谷裕子、 エントロピー学会誌47巻 2001年2月
2.廃プラスチックの圧縮処理過程において発生する化学物質に関する研究、崎山大輔、東京大学大学院平成16年度修士論文
3.摩擦によりプラスチックから発生する化学物質に関する研究、中島大智、東京大学大学院平成16年度修士論文
4.北河内4市リサイクル施設組合専門委員会報告書、平成17年3月
5.杉並中継所における活性炭使用前後の濃度比較による除去効果の考察、「廃プラ処理による公害から健康と環境を守る会」事務局
6.杉並病の調査結果の解読、津谷裕子・化学物質による大気汚染を考える会・加藤光二・杉並病裁判原告予定団、NPO/NGO環境行政改革フォーラム 2003年度総会◆◇◆◇ところで、「杉並病」ってなに?◇◆◇◆ 本文でも触れた不燃ごみ中継所が、1996年春に杉並区井草にできてまもなく見られるようになったもので、主な症状は、目や喉の痛み、視力障害、めまい、皮膚のかぶれ、頭痛、倦怠感、呼吸困難など多種多様で、その症状・程度には非常に大きな個人差が見られます。都の調査委員会は中継所の汚排水からの硫化水素と公園の防腐剤を原因としていますが、プラスチックごみの中間処理の過程で発生する様々な化学物質がこのような症状を引き起こしている可能性を指摘する科学者もおり、懸念は払拭されていません。実際に、病態・原因ともに未解明で、国内外において今も研究が続けられており、いわゆる「シックハウス症候群」などと同じ「化学物質過敏症」の一つであるという可能性があるのです。
町田市が計画している施設は杉並のものと同じではありませんが、プラスチックを圧縮処理するという点からすると、同様のリスクがあるということは言えるでしょう。ちなみに、杉並区は杉並中継所の廃止を発表しています(2014年度をめどに)。
(文責 三村明)
◆◇◆◇化学物質過敏症とは◇◆◇◆化学物質過敏症とは、何かの化学物質に大量に曝露されたり、微量でも繰り返し曝露されたりの後に発症するとされています。化学物質への感受性は個人差が大きいため、同じ環境にいても発症する人としない人がいます。さらに、多数の医師はこの病気に関心を持っておらず、診療できる医師は限られています。このため、「更年期障害」「精神疾患」など、別の疾患と診断されたり、「原因不明」として放置されている潜在患者が多数いるとみられたりしています。
化学物質過敏症の発症原因の半数以上は、室内空気汚染です。室内空気汚染による健康影響は、「シックハウス症候群」などとも呼ばれています。自宅や職場、学校などの新築、改修、改装で使われる建材、塗料、接着剤から放散される、ホルムアルデヒド、揮発性有機化合物(VOC)などや、室内で使われる家具、殺虫剤、防虫剤、さらに喫煙などが、室内空気を汚染し、化学物質過敏症の発症原因になります。そのほか、ごみ処理施設による大気汚染で、多くの周辺住民が発症したケースもあります(「杉並病」など)。
化学物質過敏症の特徴の一つに、アレルギーなどと比べても、はるかに少ない量の化学物質に反応することが挙げられます。ホルムアルデヒドの室内空気濃度指針値は0.08ppmですが、それより低い濃度で反応する方もいます。重症の方は、身の回りの多種類の微量化学物質に反応するため、起きている間じゅう、絶えず苦しみます(発症者によっては寝ていても、不眠や悪夢で苦しみます)。着られる服がない、使える生活用品がない、農薬や添加物使用のものは食べられないため、食べられるものを探すのも一苦労。そして何よりも辛いのは、自分の体を安心して置ける場所がないことです。
化学物質過敏症の典型的な症状の一つに、集中力・思考力が欠けて落ち着きがなくなる、感情を制御できず怒りやすくなる、というものがあります。化学物質に曝露されると「キレる」子どもが(大人も)現実にいます。一見すると元気で活発な子どもが、実は病気のせいで“多動”になっていた、という例も報告されています。粗暴だった化学物質過敏症の子どもが(大人も)回復すると、ウソのように優しくなったという症例は珍しくありません。また、有機リン化合物などの化学物質が、多動を引き起こすという動物実験の結果も報道されています(『朝日新聞』2003年10月30日付)。
(文責 寺岡雅之)
今日、落ち着きのない子ども、感情を制御できない子どもが、多いということは、皆さんもご承知の通りです。その中には、化学物質の影響を受け「多動児」「問題児」扱いされている子どもたちも、きっといるのではないかと思われます。
3. 町田市の行政上の問題点:何故住民たちが立ち上がったのですか? 私たちは大切な家族と共に「健康で文化的かつ個性ある地域生活を享受」(町田市住みよい街づくり条例第二条)するささやかな夢をはぐくみながらこの緑豊かな地で生活してきました。家族の幸せと健康を願う私たちの思いは間違っているのでしょうか。
市民の人間として当然の命と安全を守るために市の行政はあるはずです。それと同時に今日とみに緊急性を増しているゴミの問題はまず私たち住民の問題です。どうしたら環境の負荷が少ないような実効ある取り組みが可能かを、住民は生活の中から模索し行政と協力して広く専門家の考えを聴取しながら、その場しのぎではない中・長期的な展望をもって早急に取り組むべき課題であると確信しています。そのような住民に開かれた姿勢を期待される市の行政が、その行政がますます増加するプラスチックゴミを前にして、その減量や総合的な解決策を市民と共に真剣に探す街づくりとは反対に、安全性も確認しないまま、一地域をいわば切り捨て住民の命と生活の犠牲を強いる形で廃プラ処理施設を秘密裏に作ろうと進めて来たことが発端でした。
「住みやすい街づくり条例」ってなに? 町田市はホームページでこの条例を「市民、事業者、市が一緒になって(協働により)、お互いの責任や義務(責務)を尊重しながら、住民主体の取り組みを推進し、地域や地区の個性を生かした住みよい街づくりを実現していくための仕組みを条例として定めたものです」と説明しています。その条例の中に(市の責務)と書かれた部分には、次のような条項があります。(文責 長島世津子・三村明)
第4条 市は、この条例に基づいて実施する街づくりに関し、市民が参加する条件を整備し、市民の主体的な街づくりの推進に必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 市は,街づくりに係わる施策を総合的かつ効果的に推進するため、地域及び地区の状況、街づくりに係わる施策の実施状況その他街づくりに関する情報の収集、調査及び研究を行うとともに、市民に対する積極的な情報提供に努めるものとする。
3 市は、この条例に基づいて実施する街づくりに関し、市民及び事業者の意識を高めるために必要な措置を講じ、理解及び協力を促すよう努めるものとする。 (文責 長島世津子・三村明)
町田市自身がこの条例の精神を理解しているのか、はなはだ疑わしいかぎりです。文責 長島世津子
4. 廃プラスチック圧縮施設建設計画のこれまでの経緯<過去2度の建設計画が安全性を実証できず、住民の反対により頓挫> 町田市は1999年に市のほぼ中央の地域で既にごみ処理工場がある小山田地区町田リサイクル文化センター内に廃プラスチック圧縮施設の建設計画を立てました。翌年の2000年には住民説明を開いて、住民の理解を求めましたが、小山田地区には、隣接都市である多摩市の焼却場が背後あり、住民の反発と安全性の確証を住民に納得させるに至らず、計画は中止に追い込まれました。そして、このとき鬼頭清掃部課長(現事業部長)は住民への説明会で杉並病の質問に対する回答し、住民から十分な理解を得られていません。
また、建設計画が中止になった背景にはすでにリサイクル文化センターからダイオキシン被害を受けている小山田住人によりプラスチック処理を市内に 分散化させるように要望があったことが建設廃止理由としてあげられています(参考:平成14年3月19日都市環境常任委員会の市議会議事録)。
町田市は3年経った2001年に、再び同市の南地区鶴間で建設を計画しました。このとき町田市は、民間資金を活用したPFI的な手法による施設を企業から募集するという方法に変更しました。(注:PFI = Private Finance Initiative、民間の資金や経営ノウハウを活用して、社会資本を整備し、公共事業を効率化する手法)
これを知った地域住民は何よりも施設の全貌を知りたいと望み『廃プラスチック処理施設情報連絡会』を開催しました。鶴間地域では、既に東名高速道路の横浜インター近くの産業廃棄物業者等から発生しているダイオキシンに苦しんでいたので、廃プラスチック処理によるダイオキシンの発生の安全性には一定の理解を示しましたが、これ以上の環境悪化を懸念する声が高まりました。市は2回目の計画も安全性を実証できず、市は再度計画を撤回せざるをえませんでした。(文責 遠山直也)
<3度目の計画は秘密裏に小山ケ丘へ> 過去2回挫折から教訓(?)を得たのか、3度目の2005年には、町田市はこれまでと推進方法を変えて、まず1〜4月に廃プラスチック圧縮処理の委託先を公募しました。これに応募した複数の民間企業の中から、6月に千葉市の専門業者(株)佐久間に決定。市の説明によると応募した中で2社が小山ヶ丘地区を建設予定地にしたということでした。これを受けて、都が土地の売却を決め、佐久間は7月26日の契約後最初に保証金として土地代金の20%を支払い、3ヵ月後の10月26日に残金を払って土地を取得しました。
この過程で町田市はその地が八王子市の第一種住宅地域100メートル以内の至近距離であり、多摩市や相模原市とも隣接している地であること、子供たちが恵まれた自然環境の中で学び遊ぶ学校や公園が密集していて中学校建設予定地のすぐ傍であることすら思い至らなかったようです。
☆市の説明逃れと条例違反☆ このような段取りを済ませた後で、昨年施行されたばかりで住民になじみのない「住みよい街づくり条例」に従って9月28日に、佐久間による説明会を実施し、付近の関係住民ははじめて廃プラ中間処理施設の建設計画を知ることになりました。その会合を漏れ聞いて急遽駆けつけた多くの近隣住民は、市が欠席したままで業者側のみによる説明に納得せず、こうした責任逃れに激しく抗議して説明会は不成立に終わりました。
住民に対するこの件で始めての大事な説明会に出席しない理由として、市は「住みよい街づくり条例」の規則を盾にとり、関係住民に対する説明会は事業者が行うことであると釈明して、住民の批判の矢面から逃れようとしました。しかし市の清掃事業の一環としての事業である以上、事業者としての責任は市にあることは明白です。しかも、市は佐久間が都と用地の売買契約する際に必要となる資金の銀行融資を受けるために「受託候補者決定通知書」を発行し、契約の便宜を図りました。(文責 長島世津子)
〈施設建設計画に関する最近の動向〉 ここで少し遡って、10月からの反対運動に関わる近隣住民と町田市の行政側の動きを時系列で追ってみます。
9月25日に、四季の丘自治会より、28日の説明会の件が緊急回覧で住民に知らされます。後にこの情報が南大沢地区の住民へ口コミで広がっていきます。
9月28日の説明会は、町田市の職員は全く参加せず、(株)佐久間のみによる説明会として開催されました。これに反発した住民は、説明会の不成立を要求し、佐久間の役員もこれを認めたため、第1回目の説明会は不成立として終了しました。
10月20日には四季の丘住民が中心となって建設計画の白紙撤回を求める要望書をごく短い期間で13,000筆集め、これを町田市に提出します。
10月22日には、八王子市の黒須市長が「環境を考えれば,(町田市に)慎重な対応をしてもらうのは当然だと思う」という考えを表明し、町田市の寺田市長宛に今回の建設計画を十分に八王子市民に説明するよう要請した文書を送付。市としては異例の処置です。
10月23日に、今度は町田市主催の説明会として小山市民センターで開催。1000人以上の市民が集まり、説明会当初から会は紛糾。市はほとんどなんの説明も行わないまま、「懇談会」という名称に変更したうえで終了しました。
10月29日に、23日の説明会に出席した有志が中心となって「町田市廃プラ施設問題を考える 八王子、相模原、多摩 町田の市民の会」を立ち上げます。
11月13日に「町田市廃プラ施設問題を考える 八王子、相模原、多摩 町田の市民の会」主催の住民集会が催され、近隣住民約5000名が参加し、廃プラ施設計画に対する反対署名が約4000筆、カンパも約40万円集まり、市民の要求が計画の白紙撤回であることが明らかになりました。また、この模様は新聞、テレビにも多数報道されました。
11月19日には、市は小山ヶ丘小学校で2度目の説明会を開催。町田、八王子他千人以上の近隣住民が集まり、市民側からはごみ処理のあり方について協議する場を設けるよう求めました。また、各地域で活動している団体や小山町、小山ヶ丘の地域住民の声を取りまとめ、協議していくことを目的とした『町田市 廃プラ対策協議会』が発足しました。
11月24日には寺田和雄市長が記者会見を開き、「説明不足もあったと反省している。事業の大切さを理解していただく一層の努力が必要」とし、「法により、廃プラスチックは別途処理しなければならない。住民の心配は分からなくもないが(計画は)やらざるを得ない」との見解を示しました。 (文責 遠山直也)
ちなみに事業業者の安全意識は? 今回事業を請け負う業者は、千葉で稼動中の同様の処理施設でも、義務はないとして、大気・水質・土壌汚染調査を今までに一度もしていません。町田市で稼動しても、そのような義務はないので、一切汚染状況のデーターは取るつもりはないそうです。都の許可を得て稼動する以上、何か今後問題が生じても、たとえ住民の命に関わる健康被害が出たとしても自分たちには責任はないと、これまで問い合わせた住民に答えています。 (文責 長島世津子)
5. 廃プラスチック中間処理施設なんていらない…ですましていいの? 最後に、どうすればこの施設をつくらずにすむのかを考えてみましょう。「安全性が確認されていない施設を建てるべきではない」というのは確かに正論です。が、施設の計画をただ中止に追いこめば良いかというと、この問題はそんなに簡単なものではありません。
〈問題点はどこにある?〉 そもそも、なぜ廃プラ中間処理施設が建てられようとしているのでしょう?もちろん「わざと環境を壊すため」ではありません。それなりの理由があってのことなのです。
今や私たちの暮らしに欠かせないものとなっているプラスチック。その便利さについては言うまでもありません。しかし、それらはいつかごみになる日が来ます。何らかの方法で処分をしなければ、私たちの家はプラスチックごみでいっぱいになってしまうでしょう。
そこで、焼却や埋め立てを行うわけです。ところが、プラスチックを焼却すると、高温になるため炉を傷めたり、有害なガスが発生したりします。また、埋め立てるにしても、最終処分場を無尽蔵に増やせるわけではなく、その限界が刻一刻と迫っています。ですから、焼却も埋め立てもしない「リサイクル」を進めることがさけばれているのです。
でも、一見「良いこと」のように見えるリサイクルには、実は様々な問題があります。まずは、分別の問題。ペットボトルに代表されるPETであれば、単独の材質で集めますから、砕いて溶かし、同じPET製品である洋服につくりかえるなど、リサイクルは比較的簡単です。しかし、それ以外のプラスチックは、基本的には種類を問わずまとめて集められています。その場合、リサイクル方法は限定され、油化・ガス化等の、化学原料の状態にまで戻すリサイクルが主となります。しかし、それには大量のエネルギーや資源やお金が必要になるという問題点があります。そして、そのリサイクル原料の効率的な運搬のために、多種類のプラスチックが混在した状態での圧縮・梱包作業が行われることになり、これが今回のような問題をも引き起こしているわけです。
そして、そもそもリサイクルそのものが問題なのです。例えばペットボトルで考えてみましょう。石油→ペットボトル→フリース→クッション材→固形燃料とリサイクルされ(同じ製品を作らないのは、リサイクルによって品質が低下する点と、もし同じ製品を作るとしたら、お金がかかりすぎることが理由です)、最後に燃料として燃やされて、結局はなくなってしまいます。リサイクルとはいっても、一方通行ですから、原料の石油の消費は止まることがありません。つまり、リサイクルをいくら進めても、大量生産・大量消費・大量廃棄からの脱却には結びつかず、地球環境問題の根本的解決にはならないのです。
〈廃プラスチック中間処理施設にたよらない方法を求めて〉 廃プラ中間処理施設をつくらずにすむ方法はあるのでしょうか?きっとあると思います。ただしそれは、決して楽にできるものではなく、行政も企業も市民も、たいへんな努力をしなければ実現できないでしょう。ですが、単なる一時的なごみ問題としてだけでなく、私たちの将来を左右する重要な環境問題として考えてみれば、今そうした努力を怠るべきではないのではないでしょうか。
プラスチックの分別の問題について考えてみましょう。ヨーロッパでは、プラスチックを7種類(6種類+その他)に分別し、なるべく材質ごとに効率よくリサイクルを進めるような取り組みが行われています。私たちもこれに習い、プラスチックをなるべく細かく分別するのも、一つの手段です。いったん混ぜてしまってからでは、分けるのがとてもたいへんですから、私たちが捨てるときに分別しなければなりません。それはかなりの労力になってしまいますが、もしできれば、廃プラスチックの圧縮・梱包処理の必要性も非常に小さくなると思われます。
また、私たちが消費するプラスチックの種類を、スーパーやデパートなどにも呼びかけるなどしながら、リサイクルできるものや、生分解性(微生物の働きによって分解される)プラスチックなど、なるべく環境に負担をかけないものに限定していくのも良いでしょう。こうした取り組みが徹底されれば、処理しなければならない廃プラスチック容器の量を、大幅に減らすことができるでしょう。そして、何よりも一番良い方法、それは「私たちがごみを出さないこと」です。ごみがなければ、焼却も埋め立ても、そして廃プラ中間処理の問題も、起きようがありません。もちろん「ごみを全く出さない」というのは実際には無理ですから、これは極端な話をしただけのことですが…。
しかし「ごみを減らす」ということでしたら、私たちの心がけ次第で、今日からでも始められるはずです。いきなりごみをゼロにしようと意気込まなくても、ちょっとしたことからで良いのです。「買い物袋を持ち歩き、レジ袋をもらわない」「野菜や果物を買うときは、ラップされたものでなく、裸売りのものを選ぶ」など、アイデアはいくつもあると思います。「今日800gのごみを出していたら、明日は799gにする」そんな気持ちで、小さくても実行できることを積み重ねていく…。一人ひとりが減らせるごみの量は少なくても、それを何万、何十万の住民が取り組むようになれば、どうでしょう。いつのまにか、処理するごみの量は大幅に減っていることでしょう。プラスチックごみにしても、量が少なければ、中間処理施設は黒字操業できなくなるわけです。そんな施設を民間企業が建てるわけがありません。
「環境の世紀」と呼ばれる21世紀。私たちが目指すべきものは、ごみの出ない持続可能な社会です。その目標を掲げて私たち一人ひとりが日頃から真剣に取り組むことができれば、廃プラ中間処理施設の計画中止は、あくまでその通過点として、必ず見えてくるのではないでしょうか。希望を持って、さあ、行動しましょう! この章文責 渡辺司
〈作成/発行〉 町田市廃プラ施設問題を考える八王子・多摩・相模原・町田市民の会
および 町田市廃プラ対策協議会
〈問い合わせ先〉メール・アドレス:Haipla8@yahoo.co.jp
オフィシャルサイト: http://hiplastic.blog14.fc2.com/
町田市廃プラ対策協議会:http://www.k5.dion.ne.jp/~plastic/
発行日:2005年12月3日
*この資料は、11月13日の住民集会で集まった市民の皆様からのカンパで制作しました。
お問い合わせなどは以下にお寄せ下さい。
e-mail:haipla8@yahoo.co.jp
コメント欄からのお問い合わせもお待ちしております。